HAIR MAGAZINE  Last updated : 03/05/01
 

しんびよう 6月号.2003©SHINBIYO

SPECIAL
新しいパーマがつくり出す
新しいフォルムと柔らかさ

NIFTY
吉木 紀之

シンプルでオーソドックスな技術を
今までとは違う発想で組み合わせて
それぞれの個性を引き出すパーマ

 『NIFTY』では毎年、春夏/秋冬にイメージラインを考え、お客さまの要望とリンクさせながら提案しています。今年の春から夏にかけては、大人と少女の二面性を併せ持った女性像を設定。スタイルとしては横から観たときに雫が逆さになったようなシルエットをつくり、サイドの毛先に当たる「雫の先」の部分が顔にかかったり、後ろに流れたりすることで二面性を表現しています(3〜4点目参照)。
 今回はそこにパーマを加えていますが、以前のように質感をミックスするだけでなく、全体のシルエットにもミックス感覚を取り入れ、単純に「縦長」とか「丸い」という印象とは違った形に。例えばボブにビンパーマを組み合わせて「うねり」をつくったり、縦長のカットに毛先まで巻き込んだ丸みのあるパーマを取り入れてみたり一。1つのデザインの中で相反する要素のバランスを取る一一今、僕たちはそういった意識でサロンワークに取り組んでいます。
 そのためには、スタイルの中での各々のセクションの役割を明確にすることが欠かせません。つまり、「動かす部分」と「締める部分」をハッキリさせてカットに曖昧さをなくし、ベースをしっかり切り上げていく一一そう考え始めた結果、フォルムづくりのベーシックであるセイムレイヤーやグラデーションを整理し直すようになりましたし、パネルの引き出しや切り口の角度に対する意識も高まりました。
 そういった意識の変化はパーマに関しても。と言うのも、削ぎ過ぎた髪はパーマをかけるとチリつきやすく、ヘアの形もしっかりしないので、結局、何がやりたかったのかわからないスタイルになってしまいがちなんです。そんな危険性を回避するために、現在、僕たちが実践しているのはシンプルなテクニックとそれらの組み合わせの見直しです。言い換えると「オーソドックス」で「クラシカル」な技術を、以前にはなかった組み合わせで取り込み、新鮮なデザインにトライアルしていく。今回のスタイルも平巻きを多用していますし、ロッド径は変えても巻き方は一定だったり、1カールになるように平巻きしてティアドロップ(雫の先端)の部分に躍動感が出るようにしたりと、時代のニ一ズにマッチした発想で、オーソドックスなテクニックをシンプルに使いこなしていくように…。今回はチャレンジしていませんが、フラットウェーブのようなクラシカルな技術を取り入れたデザインも、ぜひ模索してみたいですね。

 デザイン発想の部分では、なるべくその人の髪質を活かすことを前提にしたスタイル提案をしていくという方向性が、僕たち『NIFTY』の中に根付きつつあります。なぜなら、おしやれに敏感なお客さんの大半が、お仕着せのスタイルではなく、自分の個性をムリなくアピールするデザインを望んでいるという事実があるからです。そういった要望を満足させるためには、髪本来の条件にあまり逆らわないことが大切だと思うんですね。例えばクセ毛の人なら、その「クセ」をデザインの一部として活用していく。つまり、骨格や髪質という条件を受け入れたうえで、テクニックを工夫しながらデザインを提案していく発想が、これから本当に大切になってくると。そのためには、今までとは比較にならないくらいシビアに、デザインのポイントを絞り込んでいくことが要求されるんです。しかし、それがクリアされれば、その人本来のナチュラルな条件を最大限に活かしたデザインが提供できるわけですから、フィット感はバツグンなはずですよね。そうすれば、個性の表現をヘアに求めている人たちが納得して楽しんでくれるデザインが提供できる。今回、僕たちが提案したスタイルのデザインポイントに関して言えば、女性の二面性を表現している耳元の髪(雫の先端に当たる部分)の長さと表情が、それに当たります。つまり、この部分にどんなパーマを施術し、どんな表情をつくっていくか一一一。ヘアのプロフェッショナル集団として『NIFTY』は、サイドの髪を今シーズンの新鮮なデザイン提案のポイントとして注目しているんです。



hair/NORIYUKI YOSHIKI make-up/AKIKO KAWAZU

「しんびよう」6月号.2003より転載