HAIR MAGAZINE  Last updated : 06/06/28

ヘアモード May.2006. No554 ©女性モード社

エリアのトップサロンをレポートする
エリア・グラフ
- デザイン満足への 揺るぎない挑戦 -

デザイン力、技術力、そして集客力に接客力-------。
サロンに必要なあらゆる「力」に抜きん出たエリアのトップサロン。
連載「エリアグラフ」では日本全国の有力サロンをレポートし、
その人気の所以、そしてさらなる飛躍に向けた現在の取り組みを探る。

今月は熊本・「NIFTY」(ニフティ)を取材。
若手スタイリストの作品と併せて、
同サロンの飛躍の理由をお届けする。


山本 実世

お客様が求めるもの
それは「デザイン満足」

 「ビューティビジネスを通じて、人に、街に、そして社会に貢献したい」
そんな信念のもと、斬新かつハイクオリティなデザインで、九州はもとより全国にその名前を響かせる、熊本を代表するサロン・NIFTY-------。昨年12月には月間売上げが過去最高を記録するなど、その勢いはデザイン力にとどまらない。

 名実ともに九州の中央に位置する地方中心都市・熊本市。そんな熊本の地にNIFTYがオープンしたのは今から14年前。東京のMINXで店長を勤めた西浦榮一さんが、円満退社後に帰郷した翌年のことである。

 「地元で店を持とうと考えたものの、どの場所に出すのか、スタッフを何名雇うのか、ほとんど決定事項はなかったですね」(西浦さん)

 そんな計画段階中の西浦さんのもとに、突然舞い込んできたヘアショーの依頼。東京時代の活躍が買われてのことだ。店もない、スタッフも決まってない西浦さんだったが、二つ返事で引き受ける。

 「東京でやっていたことだから、大変だとは思わなかったですね。で、けっこううまくいったんです。ある程度"できる"と思ったら思い切ってやったほうが実力以上に頑張れたりするんだなって、そのとき感じました」(西浦さん)

 こうしてヘアショーを皮切りにスタートしたNIFTYだが、このとき感じた想いが今ではNIFTYの教育システムの要となっている。

 「うちではスタイリストデビューが2.3年と比較的早い。また、まだ役職に就くには未熟だと、まわりも本人も自覚しているうちからどんどん肩書を与えるようにしています。ある程度のレベルで任せたほうが一生懸命になって取り組むじゃないですか。伸びるためにはそれくらいでちょうどいいと思うんです」(西浦さん)

 JHA7年連続ノミネート-----。
西浦さんの「プラス思考型・追い込み教育」によって一人前の美容師へと成長したスタッフたちは、撮影もこなせる"ヘアデザイナー"としてその才能を開花していく。

 美容師からクリエーターへ。そうした意識をより助長させるために西浦さんがまず目をつけたのが"作品撮り"だった。地方誌などに掲載する自店の広告撮影にスタッフを積極的に参加させ、機会を与える。これもまた、ある程度上達したレベルのスタッフにどんどんチャンスを与える「プラス思考型・追い込み教育」の一環であった。

 「『このレベルで広告を任せていいのか』という厳しい意見も内部からはありました。しかし、僕としてはそういう環境をつくることのほうを重要視すべきだと考えていました。その意識だけは揺るがなかったですね」(西浦さん)

 作品撮りをする意義。それはデザイン力の向上に他ならない。ひいてはデザイン満足こそがお客様の求めるものであることを、西浦さんは疑わなかった。「作品撮りを先行投資のつもりではじめた」という西浦さんの言葉がそれを裏づける。

 

 

顧客管理からDM制作まで。
NIFTYを支えるオフィススタッフの存在

 顧客管理をはじめ、DMのデザインと印刷、ホームページの更新、スタッフ教育のためのビデオ製作まで、すべて自社のオフィススタッフに任せる。サロン経営に欠かせない諸々の事務的作業は、専門に扱うスタッフで対応し、美容師が美容業に専念できる環境づくりが整備されている。今後は顧客管理の強化に向け、オフィススタッフの増員を検討中。


 

「デザイン」でお客様に満足を

NIFTYは、「デザインを売りたい」という意識がとても強いサロン。それを踏まえて、多くのお客様を喜ばせていくことが自分たちの価値だということをみんなが認識できています。
山本 実世

 

「価値観」と「心」の統一

 西浦さんが目指した"作品を撮るのがあたり前の環境"が出来上がった頃、NIFTYの名は徐々に県内外に知れわたるように。現在、吉木 紀之さんを筆頭に、NIFTYはデザイナー集団として認知度を上げ、精力的に活動していく。

 「西浦が率先して作品撮りをしていて、カッコよさとは何かを示してくれていたと思う。作品撮りをするのがあたり前な環境だから、スタッフが自立できる土壌はできている気がする」(吉木さん)

 西浦さんが掲げる美容師の条件、それは「お客様に支持されていること」、「人に教えることができること」、そして「作品が撮れること」の3つ。作品撮りは「当然やるもの」という位置づけにあり、それをまず自らが実践し、その背中をみてスタッフは育っていく。

 そんな西浦さんが、いま最も力を入れていること、それはスタッフの意思統一だ。NIFTYでは毎朝、朝礼でスタッフが声をそろえて唱和する「社志」と「社訓」がある。

 "NIFTYスタッフよ、自分を大切にし、自分を伸ばそう。人を大切にし、世のために尽くそう"(社志)
 "私たちNIFTYは、ビューティビジネスを通じて多くの人に喜んでいただき、社会に貢献するために存在します"(社訓)

 「『社志』と『社訓』は、何か問題に直面したときに、正確か正確じゃないかの基準がぶれないようにするためのものです。『社志は守れているか?社訓はどうだ?』っていつもスタッフに、そして自分にも問いかけます。デザイン力を高め、お客様のデザイン満足を勝ち取ることはもちろん、こうした『価値観』と『心』の統一も、サロンのブランド力を維持していくのに欠かせないものだと考えています」(西浦さん) 

 ヘアデザインへのあくなき探究、そしてデザイン集団として強い連帯感を構築し続けるNIFTY。全国に向けた熊本からの発信は、彼らの「心」が出発点だ。

Hair Design & Make-up : 山本 実世
Photo : Ken Mori

「ヘアモード」May.2006. No554より転載