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作品撮影の意義を見出して
−−−作品撮影をサロンワークにより生かすためのシュミレーションを行なっていらっしゃるのですよね?
西浦 僕は、作品撮影のなかにはサロンワークで役に立つことが山のように隠れていると思うんです。だからそれを自己満足で終わらせるのではなく、お客様や業界の方など、必ず誰かのお役に立てるようにやるべきだと考えているんですね。
−−−マネージャーの白木さんは、どのようにお考えですか?
白木 ちょうど2年ほど前から、ニフティでは「お客様は今、何を求めているのか」という観点から一つのテーマを搾り出し、それにもとづいてみんなが作品をつくる作品撮影を始めたんです。それまでも個人単位の撮影は頻繁にやっていたのですが、共通テーマのもとでやることで、ニフティという組織の一つのアプローチにもなるのではないかと思ったんですね。実はこれ、かなり強硬に始めました。
吉木 人が出したテーマのもとでやるとき、「何で、あの人は、このテーマを出したんだろう?」って考えるんです。で、実際にやってみると、その意味がハッと分かることがあったりして。新しい発見ですよね。
白木 最初に取り組んだのは、イメージ的なテーマでした。たとえば「雫」といって、ヘアの中に雫の形を取り入れて、安定と不安定を共存させ、大人と少女の間にある女性像を表現するデザイン。そのあとから、技術の共有をテーマに取り入れて「毛流への働きかけによる美しいデザイン」という、ちょっと具体的なテーマに取り組んだんです。撮影前には自分のデザインをきちんと理解してもらうために、ウィッグで同じスタイルをを切ったり、展開図を描いたりしました。
−−−拝見させていただきましたが、撮影後の反省まで書いてあって。すばらしいと思いました。
西浦 「やりっぱなし」にしないということですね。でも実は、この辺りで一度、共通テーマから離れてみようと思っているんです。
白木 実際に技術の共有をしようと思ったら、ものすごい労力と時間がかかってしまって。なにせ教科書をつくる作業になりますので……。
西浦 それに、みんなもともと個性豊かなデザインなので。離れて、くっついて、また離れることで分かることがあると思うんです。
−−−次には、どのような撮影を考えていらっしゃるのですか?
白木 テーマの共有ではなくて、一度原点に戻って、サロンワークと作品撮影を結びつける、方法論の共有から始めようと思っているんです。ただ単に「こういうのをやってみたかったから」というのではなく、日々のサロンワークを通して感じる「すべきこと」から発想される作品撮影ですね。
クリエーションとは、「貢献」すること
−−−オープンしてから12年。西浦さんは今、どの地点にいるとお考えですか?
西浦 僕の中では、人生、第6クールまであるんです。第1は学生時代、第2は『MINX』時代、第3はニフティができてから今に至るまで、第4はスタッフがせめて今の僕の位置にくるまで、第5は受け渡し、第6からは遊びます(笑)。今はちょうど、第4クールのスタートラインに立つ準備をしているところなんですね。オープン当時、吉木たちに言っていたことが80%くらい実現できたかなって。
−−−クリエーションとは何だと思いますか?
白木 たとえば「水が飲みたい」と思いますよね。そのためには「コップが必要」。さらに「取っ手があれば便利」になって「デザインを工夫すれば、もっと楽しく飲める」という。創造されたものって、必ず必要とされるものであって、何かしらに「貢献」しているものだと思うんです。
西浦 そう、ニフティも、そうやって成長していくんだと思います。
マネージャーという存在が与える影響
−−−白木さんは、具体的にどのような仕事をされているんですか?
白木 具体的にですか? それ聞かれるのが一番困っちゃうなっていう(笑)。まず、私は美容師ではありません。でも、美容師としてお客様と接する以外にも、結果としてお客様のためになることってあると思うんです。そこを担うのが、私なんですね。たとえばスタッフ同士のコミュニケーション。組織として、いいことは共有し、悪いことは早急に対処しなければいけないと思うのですが、実際、店舗が違ったりすると、なかなかそれが浸透しづらかったりしますよね。それを解決するためには、全員が目を通せるプリント物が必要だったり。その作成という細かいことから、スタッフの声を具現化するまでのシステムづくりや、もともとカメラをやっていたこともあって作品撮影の際の撮影担当などもしています。
西浦 あと、白木はニフティに入る前、出版の仕事をしていたんです。美容ではありませんが「つくる」ということを違う分野でやっていたので、はじめからコミュニケーションをとりやすい部分があったのかなって思います。でも実は僕、白木の話を聞くとイライラしてしまうことが多いんです。それは、彼が完全にお客様の立場でものを言うからですね。つまり彼は、美容師とお客様の間にギャップがあるということに気づかせてくれるんです。
白木 コミュニケーションをはかる上で、スタッフの気持ちが分からないといけないのは勿論ですが、ここで唯一髪を切ることができない私の役割として、お客様の目線でものを見るということが重要だと思うんです。でも入社して2年半も経つと、だんだん美容師寄りになってきている自分がいて。そう偏らないためにも、たとえば道を歩いていて、千円と一万円のTシャツを見つけたとき、その両方において「消費者はなぜこれが欲しいのか?」というようなことを、常に考えるようにしているんです。
熊本には、コンサバ系が少ない!?
西浦 うちのお店はリターン率が高くて、7割以上なんです。新規に関しては、ほとんどがロコミですね。
白木 熊本って、ロコミの力が大きいかも知れないですね。
西浦 それと最近思うのは、熊本には「コンサバ系」と言われる人が極端に少ない気がするんです。「これが私なのよ」というような個性的な感じが流行なんですね。街にも路地がいっばいあって、そこにある「何だろう?」と覗いてみたくなるような小さなお店が人気なんです。そういう意味では、サロンの展開においても、一店舗に大人数を配置したり、単に大きな規模にすればいいというわけではないな、と思っているんです。
吉木 サロンでも、個性を生かしたヘアを希望される方がほとんどです。サロンワークと作品撮影のデザインに大差がないのも、熊本の特徴かもしれないって気もしますね。
必要なのは、「ビジネス意識」と「いいものをつくりたい情熱」
−−−ニフティという一つの組織を動かしていく、その原動力となるものは、何なのでしょうか?
西浦 とにかく「喜んでもらいたい」という気持ちです。オーナーとしては、スタッフに。スタイリストとしては、お客様に。経営者としては、業界の方に。でも、その大きな目標に辿り着くまでには、多くの選択肢がありますよね。まわりにはたくさんの人がいますから、そのときどきのバランスを考えて、一番いい道はどれだろうって考えると……。その道は僕が進みたい道ではないかもしれない。でも僕は、その道を選びます。選ばないと、進まないからですね。これはビジネスマンがある企画を組むときに、その結果としてどのくらいの利益と損失が出るのか、前もって考えるのと似ていると思うんです。それを「ビジネス的な思考」というのなら、僕はアシスタントレベルの子にも、もっとその「ビジネス」という意識をもってほしいと思う。さもないと、「このシステムは、どうして?」という反論ばかり出てきてしまって、組織として力が出ない状態になってしまうと思うんです。「いいものをつくりたい」という情熱と、「ビジネス」の意識。その2つが合体してこそ、組織は向上していくと思うんです。
興味が強い時期にスタイリストデビューさせたい
−−−スタッフ教育について教えて下さい。
西浦 これは、店長たちが書いた原稿を白木がまとめた、技術の教科書です。アシスタントの技術指導における統一性をはかるためにつくりました。
白木 見てのとおり、クリアファイルに入っているんですけれど、これは必要に応じて入れ替えて、変化していくものなんです。
吉木 さらに技術が偏らないように、1年目ははこの店鋪、2年目はこの店舗と、セクションごとに店舗を振り分けて教えています。そこで色んなスタイリストの考えも浸透するように。
−−−スタイリストになるまでは、どのくらいかかるのですか?
西浦 平均して、2年半から3年です。僕としても、そのくらいで終わってちょうど興味の度合いが一番強いときだと思うんですね。そのタイミングでデビューして、自分の表現に挑戦し始めたほうが、将来伸びる可能性が高いように思うんです。だから場合によっては「このくらいなら、もうOK! デビューが遅くなるから」って言うことも……。
白木 週に一度、各個人のすべての数字を公開する成績発表も行なっています。同期なんかは、ものすごく刺激になるみたいですよ。
夢を感じられる「組織」
西浦 でも、とにかくミーティングが多い店ですよね。まず、ここにいる人は、毎朝アシスタントと同じ時間、9時10分に出勤して、店長朝礼を行っています。
白木 場所は、3店舗から歩いてすぐのオフィスで。前日の営業内容や連絡事項の報告ですね。そのあと店長は各サロンに戻って、ちょうど営業の準備を終えたスタッフと各点ごとのミーティングを行います。
西浦 他にも、店長会議、スタイリストとアシスタントに別れて行なうセクションミーティング、名店ミーティング、全体ミーティング。すべて月に1回ですが、毎週、縦か横かで繋がっている状態です。
吉木 でも、温い感じじやないですよ。ビシビシですよ。
西浦 みんな、そう思っていると思うよ(笑)。店長会議なんて、みんなで真っ赤になって怒り出すこともありますもん。
吉木 オリジナリティといっても、まずは相手を認めることから始まり、それから吸収して、消化して、磨かれていくものだと思うんです。
白木 それを、いつでも瞬時に一番下のアシスタントまで伝えられることが、ここの組織の強みだと思うんです。これは現実問題として必ず起こり得ることだと思うのですが、この先、彼らが歳をとって今と同じ活動を続けることが難しくなったとしますよね。そのときニフティとしては、組織の中できちんと機能する別の仕事を与えて、もちろんそれなりのお給料も払っていきたいと思っているんです。それが土台のしっかりとした組織づくりに繋がるのではないかと思うんです。
−−−二フティの魅力が伝わりますね。
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